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  • 診療テクニック

2021/10/29

歯髄にダメージを与えない軟化象牙質除去

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理想的な軟化象牙質除去の3つの条件を知っていますか?

1.健全象牙質を削除しないこと
2.歯髄に物理的刺激やダメージを与えないこと
3.歯髄には一切細菌感染させないこと


の3つです。

生活歯治療の予後を大きく左右するので、
過不足なく除去をしてくださいね。

必要な器材は?

さて、準備する器材ですが、
・浸麻器材一式
・ダイヤモンドバー、
・エキスカベーター 大・小
・う蝕検知液
・探針
・デンタルフロス
・ラバーダムセット一式  です。

浸麻については以前バッチリと触れたので、ここでは割愛しますね。

【ダイヤモンドバー】
軟化象牙質を除去するためには使いませんのでご注意を!

使用目的は、
・軟化象牙質へのアクセスのために、
 エナメル質やコンポジットレジン層を除去する
・窩洞の辺縁形態を整理し、滑らかな概形にする
・フリーエナメルとアンダーカットを除去する
の3つです。

【エキスカベーター 大・小】
軟化象牙質を確実に除去するには、
自分の手で象牙質の硬さ・軟化象牙質の進行度を触知できるエキスカベーターが最適です。

切れ味、持ちやすさ、耐久性の良いものを選びましょう!

常に予備の新品を用意し、切れ味が悪くなったと思ったら交換を。

ちなみに、ラウンドバーは振動や過剰切削、
手の感触をとらえにくいといったデメリットがあるため、
あまりおすすめできません。

【う蝕検知液】
う蝕検知液を使わずに軟化象牙質を正確に除去することはできません。

短時間で染まり、
なおかつ軟化象牙質が染まりすぎないものを使いましょう。

【探針】
軟化象牙質の硬さを判定するとき、
エキスカのような刃物とともに微妙な感触を認知できる探針を使用します。

【デンタルフロス】
隣接面の歯面粗造感を調べるときに使用します。

【ラバーダムセット一式】
術野が見やすい、口腔内最近の飛散が少なくなるなどのメリットがあります。

診査方法について

咬合面、隣接面は、
「視診」「触診」「デンタルエックス線画像診」「フロスによる診査」でチェックします。

「視診」では、
エナメル質の崩壊度、象牙質の色、う窩の有無を確認。

「触診」では、
探針での咬合面のスティッキー感と
探針の隣接面からの水平方向侵入度を調べます。

「デンタルエックス線画像診」では、
透過像の有無(象牙質の脱灰度)、う窩の歯髄近接度、歯髄の形態を。

「フロスによる診査」では、
隣接面の粗造感を確認しましょう。

覚えるべき手順

軟化象牙質除去の手順は、
1.旧補綴物・充填物を除去する
2.エナメル質の窩洞を整理する
3.軟化象牙質除去前の窩洞形態をチェックする
4.エキスカで軟化象牙質を除去する
5.軟化象牙質を判定する
6.軟化象牙質除去後のエナメル質窩洞の形態を整える
7.窩洞外形を確定する
です。

一つひとつ、詳しく見ていきますね。

まずは、旧補綴物・充填物の除去についてですが、
少し前に触れたので割愛します。

2.エナメル質の窩洞を整理する

軟化象牙質が直視できるように、
フリー(遊離)エナメルは削除します。

エナメルと象牙質の境での取り残しがないよう、
十分注意してください。

3.軟化象牙質除去前の窩洞形態をチェックする

象牙質が直視できるか、
充填物、取り残しはないか確認します。

4.エキスカで軟化象牙質を除去する

エキスカで象牙質に触り、抵抗感がない軟化象牙質は除去します。

5.軟化象牙質を判定する

探針・エキスカでの触診で軟化象牙質の感触を確認します。

本来、象牙質の色は透明なので、
白濁した個所を見て、取るか取らないかを判断します。

また、う蝕検知液で染まるか染まらないか、
染まった場所、色の濃さ、表面性状を観察します。

6.軟化象牙質除去後のエナメル質窩洞の形態を整える

フリーエナメルを丸め、エナメル質鋭縁を丸め、
そして、滑らかな窩縁外形にします。

7.窩洞外形を確定する

咬合力のかかる部位での充填の厚みは、
1.5mm必要と言われています。

その厚みは確保しましょう。

軟化象牙質が完全に除去できるまで、
手順2~5を繰り返し行います。

ざっと流れを説明しましたが、
イメージできましたでしょうか?

押さえるべきポイント

まずは、理想的な軟化象牙質除去の3つの条件をおさらいしましょう。

1.健全象牙質を削除しないこと
2.歯髄に物理的刺激やダメージを与えないこと
3.歯髄には一切細菌感染させないこと

です。

これらを叶えるためのポイントを紹介しますね。

《ポイント1》
探針・エキスカでの触診の感触を知っておきましょう。

硬化象牙質…探針やエキスカで傷がつかない
健全象牙質…ひっかき傷がつくが、はじかれるような感触
軟化象牙質または石灰化度が低い…傷がついて少し削れる
軟化象牙質…エキスカで削れる・はがれる・ぽろぽろ取れる

ただし、象牙質には個人差があり、
中には健全象牙質なのに、
エキスカで引っ掻くと
傷がつく人もいます。

視診やう蝕検知液と組み合わせて、見極めましょう。

《ポイント2》
エキスカの刃は歯髄方向に力を入れて向けず、常にエナメル質側に向けます。
歯髄に近い軟化象牙質は、無理にはがさないようにしましょう。
セメント裏装後、後日除去することも検討します。

《ポイント3》
ラバーダムを使いましょう。
ラバーダムを使うと、視野確保と誤飲防止になるとともに、
だ液や口腔内細菌の飛散が少なくなり、
清潔な環境で理療できます。

特に大臼歯の治療では作業がしやすくなるので、
スピードアップにつながります。

過不足なく除去できるよう、ぜひ覚えておいてください。

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