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  • 公開:2021/06/18
  • 更新:2024/04/20

【最新版】確認しておくべき歯科医師臨床研修制度の2022年改正箇所まとめ

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2024年度研修スタートに際し

国家試験合格発表後、翌月すぐにスタートする歯科医師臨床研修。
この歯科医師臨床研修制度が、
2022年度から変わっているのをご存じですか?
(2021年度から見直しを施行し、2022年度以降運用開始)

もともと、歯科医師臨床研修制度は2006年に始まりました。
その後5年ごとに見直しが行われています。

2022年度からの現在の臨床研修の到達目標は次の3つ
①歯科医師として身につけるべき基本的価値観及び基本的診療能力の修得
②地域包括ケアシステムの構築など、医療の提供提供体制の変化を踏まえ、在宅歯科医療の提供やチーム医療・多職種連携等への対応
③各ライフステージにおいて必要な歯科保健医療への対応


一言でいうと、「高齢化が進む日本で求められる歯科医師を養成する臨床研修を行う」です。

国が、国民が必要としている歯科医師像を理解しておくことは
皆さんの進路を考え、
歯科医師として生計を立てるために非常に重要なカギとなるので、
ぜひ注目していただきたい点です。


2022年改正で歯科医師臨床研修制度のどこが変わったのか


高齢化が進む日本では、
現在、介護が必要な体になっても、
住み慣れた地域で最後まで生活できるよう、
「地域包括ケアシステム」の構築が進められています。

それを受けて、歯科医師も、歯科疾患の治療だけでなく、
医師や薬剤師、看護師、介護支援専門員などの多職種との連携による
在宅も含めた歯科医療が求められています。

2022年の改正は、まさに「地域包括ケアシステムの一環を担う人材育成」と言えます。

研修プログラムには、様々な「必修」の項目があるのですが、
そこに加えて、特に、
多職種連携や地域医療に関わることについて「選択制」、
つまり自身で選択して参加する項目が導入されます。

例えば、
・在宅療養患者の介護関係職種が関わる多職種チームに参加すること
・離島やへき地の地域医療を経験すること
・入院患者の入退院における多職種支援に参加すること
・保健所などでの地域歯科保健活動を経験すること

をはじめ、地域包括ケアシステムに関わること
などが、選択肢として用意されます。

そして、これをどこで研修するのか?

これまでは、研修先によっては、
上記のようなことを学ぶチャンスが非常に少ない施設もありましたが、
今回、協力型臨床研修施設2(協力型2)が新設され、
その協力型2の施設は、
5日~30日間、上記の研修をすることができるようになります。

これまでの「協力型臨床研修施設」は、
研修期間が3か月~半年でしたが、

2022年の改正により、
研修医にとっても、施設にとっても、
より参加しやすく、選びやすいものへと変わりました

 


歯科医師臨床研修制度を活かすポイント3つ



 

1点目は、
「これからの社会で必要とされる歯科医療を経験する」ことが挙げられます。

各研修施設では
・地域包括ケアシステムにおける歯科医療
・訪問歯科診療
・離島やへき地での地域医療
・がんなど病気で闘病中の患者へ周期歯科診療

など、社会へ向けた多様化する歯科診療を経験できるプログラムを組んでいます。
詳しくは各研修施設のプログラムをチェックしてみましょう。

2点目は、
「研修施設が増える」こと。

旧体制:管理型-協力型を一通りとして成り立っていた
新体制:管理型→当該臨床研修の管理を行う施設
    協力型Ⅰ→3か月以上(出向や転籍)
    協力型Ⅱ→5~30日(スポットとして研修項目をカバー)

3点目は、
研修の評価方法の標準化や指導体制の見直しなども検討されているため、
「研修施設や内容のさらなる質向上が見込まれる」こと。

歯学部学生や若い歯科医師にとっては、
「歯科診療 = 治療すること」
という考えが強いかもしれません。

診療所に来た患者さんの歯の悪い部分を治療する、
昔から求められている部分でイメージしている人も多いと思います。
大学の講義もそこが中心です。

しかし、実際は、それ以外のシーンでの歯科医師の役割が増えています。
・診療所に通えない人への「訪問診療」
・歯が悪くならないようにする「予防」
・病院で多職種の医療スタッフと連携しながらの治療

等々。

2022年の改正では、
机上では知ることができなかった分野の経験をこれまで以上に積むことができるようになり、
これらの研修を経ることで、
自身の適性や興味・関心を見つけることができると思います。

そして、これこそが最大のメリットでしょう。

現行の歯科医師臨床研修制度のデメリット


実はよい事ばかりでもないこの制度…
デメリットもきちんと理解しておきましょう。

育成・教育に関しては、非常にメリットのあるものですが、
学生の皆さんが勉強と施設探しに四苦八苦するという現実があります。
日々の勉強や国試対策をしながら、研修施設を探し、見学に行ったり…
多忙な学生生活の中で更なる負担になっている可能性があります。
とはいえ、1年の臨床研修を終えなければ臨床歯科医にはなれません。

つい大学にマッチングを任せきりにしてしまって、自分では調べていなかったために研修先選びに涙をのんだ先輩方が少なくありません。
2023年度にはこれまでにない数の臨床研修施設未確定者が発生してしまったようです。
少しでもこのデメリットを回避するために、参考のブログをご紹介します。

【関連記事】

【基礎知識】歯科学生なら知っておくべき「歯科医師臨床研修」
   →https://www.jdc-navi.com/blog/details.jsp?id=122
【完全保存版】歯科医師になるまでのタスクとスケジュールを徹底解説
   →https://www.jdc-navi.com/blog/details.jsp?id=403

歯科医院の数

ところで皆さん、全国で開業歯科医が何院あるかご存じですか?
その数なんと、6万8000医院です。コンビニより多いとも言われています。
コンビニは競争が激しいところでは、淘汰されてしまう店舗があります。
残念ながら、同じことが歯科医院にも起こりえると思います。

患者さんに選ばれる歯科医院、そして歯科医師になるには、国や地域のニーズを掴むことが大切です。
その一端を知るためにも、今後も情報収集をしていってください。


★歯科医師臨床研修制度の改正に関する
ワーキンググループの報告書などは、
厚生労働省のサイト内から閲覧できます。

医道審議会歯科医師分科会歯科医師臨床研修部会_政策について
(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-idou_127796.html)

歯科医師臨床研修制度の改正に関するワーキンググループ_政策について
(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_127374_00001.html)

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