今回は、2024年4月から神奈川県海老名市にある「ベル歯科医院」で、
1年間の歯科医師臨床研修を2025年3月末で修了する女性歯科医(Dr.K)をインタビュー(記者)しました。
かなり「生」なお話が含まれていますので、研修に不安のある方は必見です。
どのような研修施設に行きたかったのか?
記者 :なぜ「ベル歯科医院」へ研修を決めたのですか?
Dr.K:実は「ベル歯科医院」が第一希望だったんです。「ここに来たい!」と思って来ました。
第二希望の研修施設は母校で保険をかけていましたが(笑)。
でも第一希望である「ベル歯科医院」に内定をいただいたので、本当に嬉しかったです。
研修施設を「ベル歯科医院」に決めた理由は「症例数」「スタッフ仲」に魅かれたからです。
大きな病院であるほど研修医の症例数は多くありません。役割分担ができているようです。
でも、個人医院だとそれなりの症例数をこなすことが可能です。とくに「ベル歯科医院」は多い方だと思います。
また、見学をさせて頂いた際にスタッフの方を注視させていただきましたが、皆さん仲が良く、
常に連携されている感じがしました。
この二点が第一希望になった理由ですね。
研修先の探し方は?また、見学や応募の仕方は?
記者:たくさんの中からどのように研修先を探したのでしょうか?
Dr.K:厚生労働省の臨床研修施設リストD-REISで県毎の一覧をしらみつぶしに調べました。
それだけでなく、一覧に載っていた気になる施設のHPなどを見て、さらに口コミも参考にしました。
口コミまで見ると、患者さん視点なので、職場環境もかいま見られますし、
自分の理念と施設が合っているかという確認もできる気がしました。
記者:「ベル歯科医院」へ見学やの応募はどのようにしましたか?
Dr.K:5年生から研修施設探しを始めました。
「ベル歯科医院」はオンライン見学ができるので、まずそちらからアプローチしました。
その見学で、是非実際に行ってみたいと思い、メールで問い合わせをしました。
北海道から行くので、春休みの長期休みを利用しました。
希望日を担当の方に伝えて、予定をすり合わせてもらいました。
その後、やはりここで研修をしたいと思ったので、第一希望にしました。
記者:実際に研修にこぎつけるまで、ドラマがあったそうですが?
DrK:そうなんです!!
じつは、「ベル歯科医院」に内定をいただき、国家試験に臨んだのですが、合格しなかったんです。
あの時は頭が真っ白になりましたよ。
でもどうしてもこちらで研修をしたかったので、翌年の合格後に研修させて欲しい旨を伝えました。
断られることを覚悟していたのですが、必死の熱意が伝わりました。半ば強引だったかもしれませんが。
結局翌年は合格を勝ち取り、無事に研修を行うことが出来ました。
出身地からの大幅な移動
記者:ご出身や大学は北海道だそうですが、神奈川県海老名市に出てくることに抵抗や不安はありましたか?
またデメリットを感じますか?
Dr.K:地元を離れることに不安がないわけではありませんが、抵抗やデメリットは一切感じませんでした。
自分のやりたいことが出来るので、期待値が強かったですね。
そんな自分を送り出してくれる地元の環境や実家の理解にはとても感謝しています。
また、この先も自分が成せることが出来る以上は戻る気もありません(笑)。
研修についての不安について
記者:研修について不安があったかと思いますが、どのような不安がありましたか?
手技への不安は感じましたか?
Dr.K:手技については不安しかありませんでした。
学校ではほとんど座学ですし、手技を学ぶにしても「抜けた歯」が練習台です。
ほとんど何も知らないところからのスタートなので、「生身の人間」に対して手技を行うと考えるだけでも
眠れませんでした。
でも「口の中を触れる」という事がシンプルに嬉しかったです!
記者:どのようにその不安を払拭しましたか?
Dr.K:幸いにも同期の研修医がいたので、指導医の指導の下、お互い練習台になりながら技術を習得していきました。
「ベル歯科医院」では浸潤麻酔の練習からスタートするので、研修医同士打ち合うんです。
しばらく口の中が麻酔で感覚ないなんてしょっちゅうでした(笑)。
実際に研修が始まって・・・
記者:研修1か月目に感じたことを思い出してください。
Dr.K:本当に覚えていないんです。気が付いたら1日が一瞬で終わっているんです。
覚えなくてはならないことがたくさんあるので、手帳にメモはギッシリ残っています。
後々「これなに?」とならないように、見やすいように日々書き直してまとめてました。
記者:1日が一瞬で終わるなんてもの凄く大変そうですが、一息ついたなと感じたのいつ頃ですか?
Dr.K:ごめんなさい!1年たった今でも一息ついていません(大笑)。
何もできなくてワタワタしているわけではないんですよ。
一つできるようになるとまた一つ覚えることが増えるという連続で、この1年があっという間だったんです。
記者:なるほど!常に成長し続けている感じですね。
Dr.K:手技についてはまだまだ自信はありませんが、おかげで人としての自信はものすごくつきました。
研修当初の「生身の人間」に対する不安はなくなりました。
記者:逆に不安が出てきたのですか?
Dr.K:そうですね、いろいろできるようになったからこそ、様々な症例に触れる機会が増えたので、
それが新たな課題と感じています。
また、当然ですが患者さん毎に接し方も口腔内も違うので日々勉強だと思います。
新しい治療が始まるたびに、マスターしきれていないものをやり続ける、未経験な感覚って感じです。
ちょっとお伝えしにくいんですが(笑)。
この1年間で出来るようになった事は?
記者:この1年で出来るようになった技術を教えてください。
Dr.K:浸潤麻酔、むし歯の処置、RF等の一通りは身についたと思います。
エンドの処置もできるようになりましたが、まだドキドキします。
記者:人として自信がものすごくついたとおっしゃっていましたが?
Dr.K:そう、そうです!患者さんから質問されたらどう答えようか最初のころはビクビクしていたのに、
大丈夫になったんです。
記者:きっかけがあったのですか?
Dr.K:ものすごく気難しい高齢の患者さんを対応したことがきっかけです。
「ベル歯科医院」では各患者さんへの気配りがすごいので、
ちょっとした注意事項もカルテやPCに記載されているんです。
それをよく読んで対応しました。
そうしたら、その患者さんは心を開いてくれて、次からの治療計画がスムースに進みました。
これは本当に自信に繋がりました。
患者さんは困ったことがあって来院されていることがほとんどなので、
まず寄り添うことが大切で、希望に応えるという事を学びました。
おかげで、質問されることへの恐怖心は全くなくなりました。
今後の進路について
記者:1年間の研修がご自身の今後の進路にどういうものになりましたか?
Dr.K:どの道に進んでも一人の歯科医師として対応できるという心構えはつきました。
私は「歯科麻酔科医」に今後の進路を決めたので、これからも成長し続けたいと思います。
記者:「歯科麻酔科医」になるために、今後は新たな病院へ学びに行くのですね?
Dr.K:そうなんです。
麻酔科医に興味がある旨を「ベル歯科医院」の院長先生に相談したところ、
善は急げという感じで次のステップへの行動を開始しました。
4月からは「歯科麻酔科医」として大学病院への研修が決まっています。
記者:Dr.Kさんのように前向きで笑顔が素敵な方ですから、「ベル歯科医院」としては手放したくないのでは?
Dr.K:そういっていただけるととても光栄なのですが、「ベル歯科医院」は可能性を潰すことは決してしないので、
快く送り出してくれます。1年という短い研修期間でしたが、本当に感謝しています。
いつか麻酔科医になって、恩返しができればとも思っています。
以上が1年の臨床研修が終わる女性研修医のインタビューです。
常に前を向いて貪欲に成長しようとするDr.Kですが、終始笑顔が絶えない素敵な先生でした。
いかがでしたか?これを読んで、研修医が何を学び、どのように成長していくかが少しでも伝わったでしょうか?
不安も期待もいっぱい持って、皆さんもどんどん成長していってください。
取材協力 神奈川県海老名市「ベル歯科医院」研修医Dr.K