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  • 公開:2025/07/01
  • 更新:2025/07/01

研修医の不安と指導医の視点 それぞれの立場で語る歯科医師臨床研修の現場レポート

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こんにちは。今回は、歯科医師の臨床研修で多くの研修医が感じがちな「不安」と、それに対する指導医の視点や指導内容を照らし合わせながら、リアルな現場の声をもとにお届けします。

「技術が足りない」「患者対応が怖い」「怒られそうで緊張する」――そんな想いを抱えているあなたへ。実は指導医は、そうした“できないこと”自体ではなく、「どう向き合っているか」に注目しているのです。

この記事では、実際に多くの研修医が抱える不安を4つに分類し、それぞれに対する指導医の視点やエピソード、現場の工夫などを紹介します。
 

不安1:「技術が足りなすぎて、自分には向いてない気がする…」

研修医のリアルな声
・スケーリングで出血させてしまった
・仮封が何度やってもうまくいかない
・根管長が合わない、ガッタが詰まらない
学生実習と違い、実際の患者さんを相手にする場面で緊張し、技術の未熟さを痛感するのは当然です。

指導医の視点
「一発で完璧を求めていない。重要なのは“なぜうまくいかなかったか”を自分で考えようとしているかどうか」
指導医は、失敗すること自体は想定内として受け止めています。むしろ大切なのは、その失敗から何を学ぼうとしているか、そしてそれを次にどう活かそうとしているか。

実際のエピソード
ある研修医が、印象採得で4回やり直してしまったとき、指導医は怒るどころか「鏡の使い方を変えてみようか」「トレー選びの視点は?」とアドバイス。翌週、その研修医は成功し、「ちゃんと改善していてえらいね」と褒められていました。
このように、“改善力”が育っているかどうかを、指導医は見ています
 

不安2:「患者さんと話すのが苦手。何をどう話したらいいのか分からない…」

研修医のリアルな声
・説明が長すぎて、逆に混乱させてしまった
・質問されても、答え方が分からない

指導医の視点
「患者さんとの会話は“型”を学んで繰り返せば、必ず上達する」
指導医は、会話の流れや説明内容をマニュアル化→実践→フィードバックの流れでトレーニングしています。

実際の工夫
ある研修施設では、毎朝時間をとって「患者説明ロールプレイ」を行っています

例:「根管治療の流れを中学生に説明するように話してみる」。最初はぎこちなくても、1か月後には明らかに変化が出ていました。

また、指導医は「説明力=相手の理解に合わせられる力」と捉えており、「歯科用語をどこまでかみ砕けるか?」を重視しています。
 

不安3:「怒られたらどうしよう…何を求められているのか分からない」

研修医のリアルな声
・治療の選択肢が複数あると、どれを選んでいいか分からない
・指導医によって意見が違い、混乱する
・答えを間違えるのが怖くて、黙ってしまう

指導医の視点
「“正解”ではなく、“どう考えたか”を言語化できるかが大事」
指導医は、たとえ治療方針にズレがあっても、その理由を自分なりに説明できる研修医には丁寧にフィードバックします。

実際のやり取り
研修医「保存するか抜歯か迷ったのですが、残根が深く、患者さんの希望も考えて保存を選びました」
指導医「OK。その判断の材料、よく整理できているね。次は歯周の状態も加味できるともっと良いよ」

このように、“自分の考えを言語化→指導医が補足”の流れで、思考が洗練されていきます
 

不安4:「空気が読めず、スタッフとの関係もうまくいってない気がする…」

研修医のリアルな声
・「助手さんに迷惑かけてないかな」と気になる
・受付や技工士とうまく話せない
・診療の流れが分からず、孤立している感じがする

指導医の視点
「“診療の空気を読む力”も医療スキルの一部」
歯科診療はチームで行うもの。指導医は、研修医がどのようにスタッフと連携しているかを注視しています。
また、助手も支持されないことの方が不安なのです。

スタッフに信頼される研修医の特徴
・自分の失敗を素直に認める
・受付や衛生士に「ありがとうございます」と言える
・忙しい時に「自分にできることないですか?」と声をかける

あるスタッフからのコメント:
「この研修医さん、朝の準備を一緒にやってくれたりして、すごく助かってます。患者さんへの声かけも優しくて、私たちも見習いたいくらい」

こうした“見えない貢献”が、信頼につながっています
 

実は指導医は研修医の至らなさを自分のこととして反省している

・「わからないので教えてください」と前向きに言えることが出来ないのは、話しかけにくい人間関係にしてしまったと反省、そして改善
・何度言ってもわかってもらえないのは、指導の仕方が研修医に合っていないのかなと自問自答
・技術ではなく“考え方”を教えたいのに、研修医が技術ばかり気にしてしまうのは指導方針の改善が必要かも
・スタッフや患者に対して自然に感謝の言葉を口にできないのは、指導医として研修医に自信をつけてあげることが出来ていない証拠

などなど、指導医は日々「どうすれば有意義な研修期間をすごしてくれるか」を考え、行動に移しているのです
指導医も研修医に学ばせてもらっているのです。
 

【まとめ】完璧じゃなくていい。でも「前向きに学ぶ姿勢」は必ず伝わる

臨床研修は、歯科医師としての「土台」をつくる大事な1年
技術に自信がない、患者対応が怖い、怒られそうで縮こまってしまう……
そう感じるのは、真剣に学びたい気持ちがある証拠です。
指導医は、あなたの不安に寄り添いながら、
「どう乗り越えようとしているか」を見ています


「失敗した…」と落ち込んだ日こそ、振り返りのチャンスです。そして、分からないことをそのままにせず、「調べてみよう」「聞いてみよう」と行動する。その一歩一歩が、確実にあなたを成長させていきます。

あなたのその“もやもや”は、未来の歯科医師として必要な感受性の証です。
どうか、不安を感じる自分を否定せず、大切にしてあげてくださいね。
 

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