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  • 公開:2025/05/13
  • 更新:2025/05/13

“やるなら楽しく”がキャリアを変える――若き歯科医師の自分らしい挑戦の軌跡

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「何かを始めるなら、他の人が追いつけないくらい突き進んだほうが、結果的に楽なんですよ。」
そう語るのは、ナカニシ財団の奨学生1期生であり、現在は在留外国人の歯科医療に取り組む「ベル歯科医院」の青木先生。飾らない語り口の中に、芯の強さと静かな情熱を感じさせる歯科医師です。
学生時代に感じた葛藤、奨学金による支援、そして今後の展望。これからの歯科医療を担う学生・研修医の皆さんに向けて、大切なメッセージが詰まっています。

学生時代の“奨学金”との向き合い方、“不安の中での支え”だった奨学金との出会い

質問:ナカニシ財団の奨学金を利用することになった経緯を教えてください。

僕は大学時代、日本学生支援機構の貸与型奨学金を利用していました。もちろん、卒業後に返済しなければいけないタイプのものです。当時は、毎月奨学金が振り込まれることで何とか生活や学業が成り立っていたけれど、同時に「卒業後に返済できるのか」という不安も常に頭の片隅にありました。
そんな中で、大学4年のときにナカニシ財団の返済不要の奨学金制度を知って、応募しました。奨学生に選ばれたことで、日本学生支援機構の奨学金を減額することができて、将来的な負担も軽くなりました。学生としては、本当にありがたかったです。
当時は全国で7人しか選ばれない制度でした。各大学からの推薦枠を経て、その中から選ばれる仕組みだったので、自分が選ばれたと知ったときは正直驚きました。

出会いが自分の“視野”を広げてくれた

質問:ナカニシ財団の奨学生になって、どんなことが得られましたか?

一番大きいのは、やっぱり「人との出会い」ですね。全国の奨学生やOBOG、歯科業界で活躍する先生方、ナカニシの社員の方々。自分とはまったく違う分野で頑張っている人たちと接する機会が増え、視野がものすごく広がりました。
奨学生同士でも、OBOGで集まってイベントを企画したりするんですが、みんな本当に優秀なんですよ。正直、劣等感を感じることもある。でも、それ以上に「もっと面白いことができるんじゃないか」と刺激を受ける場でもあります。
今まで知らなかった分野に興味が湧いたり、自分の活動を発信して共感してもらえたり。そういう経験が、後の自分の取り組みにも大きく影響していると思います。

「外国人歯科診療」の取り組みを全国へ

質問:現在取り組まれている「在留外国人への歯科医療支援」について教えてください。

僕はナカニシ財団奨学生1期生というご縁もあり、OBOG会を立ち上げる際に会長を務めることになりました。年に一度、全国の奨学生が集まる機会があるのですが、その場で僕の取り組みとして「在留外国人の医療アクセス」について発表しています。

日本に住む外国人は年々増えていますが、歯科医療のアクセスという面では、まだまだ課題だらけです。言語の壁、制度の壁、文化的な違い。それらをどう乗り越えていくかが、僕たち歯科医師に問われていると感じています。
発表後は、関心を持ってくれる学生も多くて、「実際に見学に行きたい」と言って来てくれる子もいます。自分の取り組みが、少しでも誰かのきっかけになっていたら嬉しいですね。

“次のフェーズ”は、仲間とともに

質問:今後、この取り組みをどのように広げていきたいですか?

今までは「自分のクリニックでできることをやる」という個人ベースの取り組みでした。でも、これからは“広げるフェーズ”に入ると考えています。つまり、同じような志を持つ人たちとつながって、全国に成功事例を広げていく段階です。
そのために必要なのは、行動力と発信力だと思っています。SNSや学会、勉強会などを通して、「こういうことができるんだ」という希望を見せていくこと。そして、それに共感して動いてくれる人を増やしていくこと。
医療の現場って、忙しくて手いっぱいになりがちだけど、誰かが動き出さないと変わらない。だったら自分がやろう。そんな感覚です。

どんな歯科医師を目指しているか?

質問:青木先生は、どんな歯科医師になりたいと考えていますか?

実は、明確な理想像ってあまりないんですよね(笑)。「こうなりたい」というよりは、目の前にある課題を見て、「どうやったらこれを解決できるかな?」と考えること自体が楽しいんです。
それを一つ一つクリアしていくことで、自然と道ができていくんじゃないかなと思っています。理想の形は、後から結果としてついてくるものなんじゃないでしょうか。

意欲の源は「やるなら、楽しくやる」

質問:いつも前向きに取り組まれていますが、モチベーションの源は?

別に特別な意欲があるわけじゃないんです。課題があれば、やらないわけにはいかない。それなら、楽しくやったほうが絶対にいいですよね。嫌々やるのって、しんどいし長続きしないでしょう。
あと、何かを始めるときって、最初に全力で突き進んだほうが、実は楽になることも多いんです。中途半端だとライバルが多くて疲れる。でも、突き抜けてしまえば、ライバルも減るし、自由に動ける。その方が結果的にやりやすいんですよ。

学生・研修医の皆さんへメッセージ

最後に、これから歯科医師を目指す学生や研修医に向けて、ひと言お願いします。

大変なことって、どの世界にもあると思うんです。でも、「どうやったら楽しく乗り越えられるか」を考えて行動するだけで、全然違ってきませんか。
「正解にこだわる」ことも、「自分で意味を見つけること」も大切なんじゃないかなと思います。何かに挑戦するなら、とことんやってみること。それが結果的に一番「楽しい」と感じる道になることもあるんです。
自分なりのスタンスで、自由に動いて、楽しんでください。歯科の世界は、まだまだ面白くなりますよ。

 

いかがでしたでしょうか?
「別にそんな意欲的じゃないです」と笑いながら語る青木先生。しかしその言葉の裏には、シンプルなマインドながらも“やるべきことをやり抜く覚悟”と“楽しみながら変えていこうとする行動力”がありました。
歯科医療の未来をつくるのは、特別な誰かではなく、目の前の課題を他人事にせず、動いていける人。その一歩目は、きっと誰にでも踏み出せるはずです。
ぜひ、みなさんもたくさんのことに目を向けてみてください。あなたしかできない何かが見つかるかもしれません。
 

当サイトにて青木先生が力を入れて活動している内容のブログがあります。
ぜひこちらも読んでみてください。
「グローバル化時代の歯科医療 〜外国人患者さんに寄り添う歯科医院の取り組み〜」
https://www.jdc-navi.com/blog/details.jsp?id=1043

公益財団法人NSKナカニシ財団については以下からご確認ください。
https://www.japan.nsk-dental.com/sustainability/sustainability-21118/
https://www.nakanishi-zaidan.or.jp/scholarship/file/Requirements-Scholarship_2025_2.pdf

青木歯科医師が出演しているYouTubeは以下からご覧いただけます。
日本に住むスリランカ人の歯科事情は?【外国人患者さんにインタビュー】
https://www.youtube.com/watch?v=O4RucJdIHO0

取材協力:神奈川県海老名市「ベル歯科医院」

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