このブログでは、神奈川県海老名市の「ベル歯科医院」院長の鈴木彰氏が2023年2月にタイで講演をした際に撮影してきた写真と共に、当時感じたタイと日本の「歯学」の違いについて、写真をもとに鈴木彰院長の言葉で紹介していきます。
目次
・「タイ官民ミッション」がきっかけでタイ講演が実現
・いまタイでは「予防歯科」が求められている
・【タイの大学に潜入】学習内容や設備、現状のレベルとは
・【まるでコスメブランド】タイの歯科衛生用品
・【レポートまとめ】タイの歯学生や歯科医師について
「タイ官民ミッション」がきっかけでタイ講演が実現
まず、なぜタイでの講演をすることになったのかを説明しておきましょう。
2019年に日本の経産省のプロジェクトで「タイ官民ミッション」が行われました。
これはイベントの一つとして、日本のメーカー・大学・歯科医師が経産省のプロジェクトを通じて、タイの政府や大学と交流し情報や技術を提供するものです。
そこでセミナーが行われ、「ベル歯科医院」の鈴木彰院長が「予防歯科の臨床実践」について講演。
この内容がタイの歯学部に非常に興味を持たれ、官民ミッション後に「予防セミナー」を企画することになりました。
しかし、コロナ禍となり数年間延期となり2023年2月に実現することになりました。
いまタイでは「予防歯科」が求められている
タイでは地方に行くほど、歯科治療を受ける経済的負担も大きく歯科治療が普及していません。
また、日本のような健康保険制度はない為、口腔衛生は後回しにされがちのようです。
そこで、タイの政府や大学では、う蝕を中心とする口腔疾患を公衆衛生からコントロールする取り組みを行っています。
その中で、日本の臨床医が行っている「予防歯科」が公衆衛生レベルから個人レベルに進化していることに着目しました。
現地の歯科医師だけでなく、カンボジアや近隣の国の歯科医師も来てくださり、このセミナーには東南アジア各国がタイと同じ課題を抱えていることが推察できました。
質疑においては、自国で出来る対策方法など日本をお手本にするべく内容が飛び交いました。
【タイの大学に潜入】学習内容や設備、現状のレベルとは
セミナーが開催されました場所は、タイの中でもトップクラスの医療系総合大学の「マヒドン大学」。
日本の大学のような教室だけでなく、まるでホテルかと思うようなロビーや中庭もありました。
広い廊下のような開放空間には、いつでも学生が勉強できるようにとテーブルチェアが並んでいましたよ。
この写真は学生が臨床実習をする場所です。
「マヒドン大学」はタイでは最も設備が整っている大学で、日本の大学以上ともいえます。
タイでは歯科医師は非常に人気の高い職業で、歯科医師を目指す学生が多いです。
歯科学生は実に7年間もの学生生活を送りますが、4~7年次は大学内にある病院で臨床の治療をします。
ユニットも本当にたくさんありました。
卒業の際には、実務が身についているのですから、この点は日本とは大きく違うなと感じました。
一般の患者さんに治療しますので、日本と同様に指導医監修のもとでの実習です。
滅菌に関しても「これ以上はない」というくらい徹底されていました。
設備内容は日本と同じか、それ以上と考えて良いでしょう。
タイの歯学部のある学校が全部ではないでしょうが、意識の高さを感じます。
机上の学習内容については日本とさほど変わりませんが、テキスト等が充実していなので、英文のまま使用しています。
必然的に英語力も身に付きます。
タイの歯科治療の”リアル”
タイでは、むし歯の人口が非常に多く、治療を必要とする人が多いですが、日本のような健康保険制度はない為、治療に積極的な患者さんが少ないと言えます。
タイの都市部では歯科医院も身近、かつ一部では過剰感が出ていますが、地方では歯科医師の人数が少なく、バンコクなど歯科医院へのアクセスは困難な状況が残っています。
そこで、政策として重視するのが疾患を、発生させない、重症化させない「予防歯科」です。
かつての日本でも、まさか一般人がホワイトニングや審美の為の矯正なんて思いもよらない事だったでしょう。
近年やっと口腔環境が全身の疾患に関わっていると注目されてきたほどです。
【まるでコスメブランド】タイの歯科衛生用品
さて、こちらの写真はタイで販売されている歯科用品ですが、日本のイメージとは違いますね。
日本のメーカーや、欧米のメーカーも参入しています。各メーカーはタイに合わせた製品を開発しています。
タイの人に好みのパッケージですし、香料を用いたものが目に留まりました。
日本は「清潔感」「癒し」のようなパッケージ色合いですが、タイの物はおしゃれです。
日々のモチベーションが上がりそうです。
実は私も試させていただきました。衛生用品というよりも嗜好品に近く、甘みや香りは日本の物より強くかったです。
マウスウォッシュにおいては外見からわかるように、まるで化粧品のようで、使用感もお出かけ前のエチケットに使いたくなる感じでした。
下の写真は、当日出していただいたお昼ご飯です。タイらしいですね!
【レポートまとめ】タイの歯学生や歯科医師について
歯学を学ぶにあたり、タイと日本とは技術や設備において大きな違いはないと思います。
大きな違いがあるとすれば、歯学生の貪欲な学ぶ意識の高さを感じたことです。
タイでは歯科医師は人気の職業だそうです。
歯学界でこれだけものすごい速さでの発展していく姿を見ると、日本は課題感をもっていかなくてはならないなと良い刺激を受けました。
以上、神奈川県海老名市「ベル歯科医院」鈴木彰院長のタイVlogならぬPhotoLogでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
取材協力
「ベル歯科医院」院長 鈴木彰氏