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  • 公開:2022/09/16
  • 更新:2022/09/16

【訪問診療の表と裏①】ここだけの話を公開

大澤 次郎

大澤 次郎 歯科医師/訪問・システム開発担当 

訪問診療の必要性を感じた出来事



「実は、その前年に母を病気で亡くしまして・・・」
こう話すのは、神奈川県のベル歯科医院で訪問診療を担当する、大澤次郎歯科医師。
「数カ月間ですが、自宅で介護もしました。
介護する中で、今後ますます歯科の訪問診療が必要になるなと感じました」

ベル歯科医院では、2011年より訪問診療をスタートしました。
同院で訪問診療を始めるにあたり、担当に抜擢。

高齢化が進み、よりニーズが高まる訪問診療。
その赤裸々な実態や診療にかける思いなどを伺いました!

また、緊急事態宣言時、すべての施設から訪問ストップがかかったとのこと。
早期の診療再開を促したアイディアなどもこっそりと教えていただきました!

それでは、スタート!

 

1日の平均診療件数は、施設12名、居宅3名



今でこそ、一日にこれだけの人数を診療している先生ですが、
「始めた当初は訪問診療をしている医院が少なかったので、情報収集には苦労しました。
嚥下・摂食、高齢者への診療で有名な海老名総合病院の石井良昌先生に色々お話を伺い、とても勉強になりました」
と当時を振り返ります。

歯周病の治療、抜歯、口腔ケア、嚥下訓練etc...
患者さんには、車イスやイス、リクライニングベッドに腰かけてもらい、診察します。

訪問時には、歯科衛生士または歯科助手1人を伴い、愛称「ベル・訪問号」の軽自動車でGO!

ポータブルユニット、ポータブルレントゲン、入れ歯を削るためのポータブルエンジンなどを持参します。

 

バキュームは手作りで



「例えばバキュームなどは掃除機を改造して自分で作ったりしていました。
現在は地域の歯科医師会から機器を借りることもでき、外来診療で行うほとんどのことができるようになりました」
と話します。

診察時間については、
「居宅の場合は40分くらい滞在します。
お話しを聞く時間もあるので、ちょっと長めですかね。
お話を聞くことで信頼関係ができると、診療もスムーズになりますし、説明もしっかり聞いてくれます」


丁寧にコミュニケーションをとることで、より良い診察ができるんですね。

 

緊急事態宣言中でも診療を見合わせたいという方はいませんでした



2020年4月に発令された緊急事態宣言時の訪問診療について伺いました。

「診療見合わせ希望の患者様は、実は、居宅ではほとんどいなかったですね。
施設ご入居の方は、施設の判断により2週間ほど中断しました」

 

緊急事態宣言後に診療再開が出来た理由=あるリストの存在



早めの再開ができたそのワケを伺うと、
「訪問診療を中断した際の口腔内のリスクとケアなどの対処方法を
患者様別にまとめて、施設の方にリストを渡したんです。

例えば、
・Aさんはリスクが高いから、早めに再開したい、
・Bさんは、リスクはそれほど高くない、
・施設のスタッフがケアする際は、ここに気を付けたほうがいい、
など、分かりやすく表にしました。

施設の方も初めてのことで、どうしたらよいかと悩んでおられたようですが、そのリストを見て、『じゃあリスクが高い人から再開しよう』と判断することができたようです。
一度に、ではなく、段階的な再開の指標があったことがよかったようですね」

消毒回数を増やし、体温確認やパルスオキシメーターで血中の酸素量を測るなど、体調を万全にしてから訪問。
マスク+透明のマウスシールドをして診察するなど、感染予防を徹底して、訪問診療を再開しました。

 

突発的な出来事にもすぐに対応できたのは、日頃から先生がしっかりと一人一人の患者さんと向き合ってきたからなのでしょうね。

まだお話を伺っていますので、後編に続きます♪

「【訪問診療の表と裏②】ここだけの話を公開」

 

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