1. ホーム
  2. インタビュー
  3. 臨床研修医養成のための「5年プログラム」とは?

インタビューINTERVIEW

4137884_s.jpg
0
  • 公開:2022/06/21
  • 更新:2022/06/21

臨床研修医養成のための「5年プログラム」とは?

鈴木 彰

鈴木 彰 歯科医師/開業医/歯学博士

今回は、神奈川県海老名市ベル歯科医院の鈴木彰院長に臨床研修医養成のための「5年プログラム」について、お話を伺いました。

どのような目的でプログラムを作ったのか、そしてこれは研修医の方々に何をもたらすのでしょうか?

「5年プログラム」の目的



「5年プログラム」は、天職としての歯科医師を一人でも多く育てることを目的に組まれました。

厚生労働省が義務付けた1年間の歯科医師臨床研修プログラムに加え、その後の4年間、勤務医として在籍しながら引き続き研修を行うプログラムです。

プログラムを組んだ理由はズバリ、「学生のニーズがあり、やる価値があるからです」と鈴木院長は話します。

アメリカでは大学院などで臨床歯科医養成のプログラムが整備されていますが、日本の大学院では研究と論文に重きを置くため、臨床技能の訓練に割く時間は十分とは言えません。

ベル歯科医院では、2010年に厚生労働省より単独型研修施設として認定されたことを機に、翌年、アメリカの大学院のプログラムを参考にした「5年プログラム」を創設しました。

「きちんとした診療ができるようになるには、最低5年かかります」と鈴木院長。

「5年プログラム」では、
最初の2年間で、

・臨床経験を通じて、歯学部で学んだ知識を体に焼き付ける
・反復練習を行って、正しい技術を身につける
・長期的で大きな目標を、短期的で小さな目標に分解し、その小目標を1つずつ達成する
・診査、診断スキルを伸ばす
・保険診療をひと通りできるようになる
ことを目指します。

後半の3年間では、
・自由診療の技能を習得する
・その習得のために、医院内での実習と外部研修会を受講する
・各分野学会認定医を目指す場合は、学会参加、症例数など必要な条件をクリアする
・口腔外科、矯正では、的確な診断・治療計画を立てられるようにする
・長期的な健康維持を導く治療とメンテナンス計画を立てられるようにする
・医院運営のノウハウとスキルを習得する
これらのスキルを身につけます。

プログラム修了後は、ベル歯科医院や他の歯科医院で勤務医として活躍することも、開業や医院継承もできるレベルで一般臨床歯科医師として幅広い選択肢を持つことができます

このほか、口腔外科・矯正などの専門分野へ進むことも可能です。

つまり、5年後には進路の自由度の高い「高い技術」と「マネジメント能力」が身についた歯科医師になれるのです。

「5年プログラム」のメリット

「5年プログラム」のメリットについて、
鈴木院長は

「5年間で一般診療、自由診療をしっかりできる臨床医になれることですね。
短期間で最も効率的に技術を磨くことができ、担当医として責任を持って評価される歯科医師になれます。
また、国内外の講習会に参加も可能です」

などを挙げます。

一方デメリットは、
①対象者ではない人(5年間で保険診療、自由診療を完全にできる臨床医になりたいと考えていない人)にはストレスに感じるのであえて必要ない
②ハードワークであること
③5年間という時間の確保が必要であること
④基礎をつくるために、利益に直結しない仕事もある
⑤変化を遂げたくない人にとっては苦痛
であることを挙げます。

歯学部学生の皆さん、5年後、どんな歯科医師になっていたいですか?

皆さんを伸ばすのはどんな研修先ですか?

百聞は一見に如かず。

ベル歯科医院の5年プログラム以外にも研修施設には皆さんに合ったプログラムがあるはずです。

研修先選びの際は、必ず事前に見学をして、その目で確かめてください。



 

この記事が参考になったら
0