【国試合格後アンマッチ】歯科医師臨床研修先が決まらない時の対処法/現役院長が教える二次募集の勝ち方
歯科医師国家試験に合格したのに、研修先が決まっていない――
その焦りと不安、よくわかります。国家試験の合格発表。周りが喜びに沸く中、あなたは複雑な気持ちでいるかもしれません。決して簡単なことではありませんが、打開する方法はあります。
「アンマッチになってしまった」
「このままだと4月から行く場所がない」
「どこに連絡すればいいのか、何から始めればいいのかわからない」
この記事を読んでいるあなたは、まさにそんな状況ではないでしょうか。
SNSでは友人たちが研修先での新生活を語り、自分だけが取り残されたような焦燥感でしょう。
親や先生からのプレッシャー。「もう間に合わないのでは…」という不安が、日に日に大きくなっているかもしれません。
実は、毎年この時期に「空席が出る施設」は必ず存在します。
そして、適切な行動を迅速に取れば、希望に近い研修先が見つかる可能性は十分にあります。
この記事では、神奈川県ベル歯科医院で20年以上、臨床研修医の受け入れと指導に携わってきた鈴木彰院長の実践的アドバイスをもとに、「今からでも間に合う研修先の探し方」を具体的にお伝えします。
実際に鈴木院長のもとには、毎年3月に「空席はありますか?」という問い合わせが届き、その中には無事にマッチングした方も複数います。
焦る気持ちはわかりますが、正しい手順を踏めば道は開けます。
なぜ3月に、空席が出るのか?――知っておくべき「二次募集」の仕組み
多くの学生が知らない事実ですが、国試合格発表後も、研修施設には一定数の空席が発生します。
その理由は主に以下の3つです。
① 仮採用手続きが完了しなかった
マッチングで内定が出ても、書類不備や本人都合で正式採用に至らないケースがあります。
② 国試不合格者が出た
残念ながら国試に不合格となった研修医候補がいた場合、その枠が空きます。
③ 他施設への流動(辞退)
複数内定していた学生が最終的に別の施設を選び、辞退するケースも。
これらの理由により、厚労省の規定上、定員を超えての採用はできないため、空いた枠は「二次募集」として再募集されます。
ただし、この情報はリアルタイムで更新されないことも多く、
JDCnaviやD-REISの空席情報は「参考程度」と考えるべきです。
だからこそ、自分で直接確認する行動力が何より重要になります。
まず最初にやるべきこと|研修先候補のリストアップ(優先順位付き)
STEP1:3つのカテゴリで施設を分類する
まずは以下の3つのカテゴリで、応募候補をリストアップしましょう。
A群が最優先な理由:
すでに受験しているため、あなたのことを覚えている可能性があり、「熱意がある学生」として印象が良い場合も。
補欠だった場合は特にチャンスがあります。
STEP2:情報源を3つ併用する
1. JDCnaviの空席情報
→ ただし更新が遅いため、「目安」として活用
2. 歯科医師臨床研修プログラム検索サイト「D-REIS」
→ 厚労省公式だが、こちらもリアルタイムではない
3. 直接電話で確認
→ 最も確実。「国試合格後で研修先を探しているのですが、現在空席はありますでしょうか?」
とストレートに聞くこと
STEP3:大学・予備校の先生に相談する(隠れた情報源)
意外と見落とされがちですが、大学の臨床系の先生や、予備校で国試対策を教えていた先生には、研修施設とのネットワークがあります。
「○○先生の教え子で、今年空きが出た施設があるらしい」といった非公開情報を持っていることも。
恥ずかしがらずに相談してみましょう。
空席確認後、どう動くか/二次募集の「先着順」vs「試験制」を理解する
他記事にない独自情報(募集形式の違い)を深掘りし、戦略的行動を促す。
空席があることがわかったら、次に重要なのが「その施設の二次募集がどういう形式か」
を確認することです。
パターン①:先着順(早い者勝ち)
メールや電話で応募を受け付け、書類が揃った順に面接→採用というパターン。この場合、スピードが命です。
やるべきこと:
・履歴書・志望動機書をすぐに準備できる状態にしておく
・連絡したその日のうちに書類を送れるようにする
パターン②:試験・面接あり
一次募集と同様に、筆記試験や面接を実施する施設もあります。この場合、準備期間がある分、志望動機や自己PRをしっかり練り直すチャンスです。
やるべきこと:
・なぜアンマッチになったかを冷静に分析(面接での受け答え、志望動機の浅さなど)
・「今回はなぜこの施設を選んだか」を明確に語れるようにする
鈴木院長からのアドバイス
「二次募集の方法は施設ごとにバラバラです。
だからこそ、問い合わせの電話をした時に『どのような形で選考されますか?』と聞くことが大切。そして、その場で『いつまでに応募すればいいですか?』と期限も確認しましょう。曖昧なまま様子を見ていると、気づいたら枠が埋まっています」
実例/当事務局へ3月に問い合わせて研修先が決まった2人のケース
ケース1:Aさん(2016年)/たまたま空きがあり意欲が伝わってきたので、即日面接で採用
Aさんは国試合格発表の翌日、ベル歯科医院に電話をかけてきました。
「第一志望だった大学病院がダメで、どうしたらいいかわからなくて…」
幸い、その年のベル歯科医院は辞退者が出ていたため空席が1名分ありました。鈴木院長はその日のうちに面接を設定し、Aさんの熱意と人柄を確認。翌週には正式採用が決定しました。
Aさんは現在、都内の歯科医院で分院長として活躍しています。
ケース2:Bさん(2017年)/空席はなかったが、別施設を紹介
Bさんから問い合わせがあった時、残念ながらベル歯科医院は定員に達していました。
しかし鈴木院長は、「何かしてあげられることがあれば」とBさんと直接会い、希望する研修内容(口腔外科・インプラント)をヒアリング。
その場で、知り合いの施設に連絡を取り、Bさんを紹介しました。
後日、Bさんから無事に採用が決まりました!ありがとうございました!」と連絡があり、現在は意欲的に研修を続けているそうです。
この2つのケースから学ぶべきこと
1. 行動を起こした人には、道が開ける
2. 「空席がない」=「終わり」ではない(人脈・紹介ルートもある)
3. 直接会って話すことで、思わぬサポートが得られることもある
「空席があるから」だけで選ぶと危険――研修先選びで絶対に妥協してはいけないポイント
アンマッチになると、「とにかくどこでもいいから決めたい」という焦りが生まれます。
しかし、ここで妥協すると、研修中にミスマッチを感じ、最悪の場合ドロップアウトにつながります。
以下の3点は、どんなに焦っていても必ず確認してください。
① 自分がやりたい診療分野の研修ができるか
「一般歯科だけでいい」のか、「口腔外科・矯正・インプラントも学びたい」のか。
研修内容のミスマッチは、1年間のモチベーションに直結します。
② 指導体制は整っているか
「放置される環境」では成長できません。
指導医の人数、研修医1人あたりの症例数、フィードバックの頻度などを確認しましょう。
③ 通勤・生活環境は現実的か
「通勤2時間」は最初のうちは頑張れても、1年間続けるのは想像以上に大変です。
生活の質も研修のパフォーマンスに影響します。
鈴木院長に直接相談したい方へ/JDCnavi会員限定サポート
「リストアップはしたけど、どこに連絡すればいいかわからない」
「希望に合った施設が見つからない」
「誰かに背中を押してほしい」
そんな方のために、ベル歯科医院・鈴木彰院長が、JDCnavi会員限定で個別アドバイスを行っています。
相談の流れ
STEP1: JDCnaviに会員登録(無料)
STEP2: 以下の内容を記載の上、当事務局へメール送信
件名:【研修先アンマッチ相談】氏名○○
本文:
・氏名:
・出身大学・学年:
・マッチング登録した施設名:
・これから受けたい施設名(候補があれば):
・研修先選びで重視するポイント:
例)希望診療分野(口腔外科、補綴、インプラントなど)
立地(通勤圏)
待遇(給与、住居補助の有無)
STEP3: 個別に迅速に返信します(通常24時間以内)
よくある質問(Q&A)/アンマッチ後の不安を解消
Q1. 3月下旬でも間に合いますか?
→A. 間に合います。実際に3月末に決まった例もあります。
ただし、選択肢は日に日に減るため、今日から動き始めることを強く推奨します。
Q2. 一度落ちた施設に再応募するのは失礼では?
→A. いいえ。空席が出ている以上、施設側も「来てほしい」と思っています。
むしろ「熱意がある」と好意的に受け取られることも。
Q3. 二次募集の倍率は高いですか?
→A. 施設によります。人気施設は競争率が上がりますが、地方や単独型は比較的入りやすい傾向があります。
Q4. アンマッチになった理由を聞かれたらどう答えればいい?
→A. 正直に「第一志望に集中しすぎて、他の選択肢を十分に検討できなかった」などと伝えればOK。
大事なのは「今、この施設で学びたい理由」を明確に語ることです。
最後に・・・「焦り」を「行動力」に変えよう
国試に合格したあなたは、すでに「歯科医師になる資格」を得ています。
アンマッチは確かに挫折かもしれません。でも、ここで諦めずに動いた人だけが、次のステージに進めます。
この記事を読んだ今日、今すぐ以下の3つを始めてください。
1. 施設リストを作る
2. 3施設に電話で空席確認
3. 鈴木院長に相談メールを送る
動いた人にしか、道は開けません。
あなたの研修生活が、充実したものになることを心から願っています。
【著者・監修者情報】
監修者:鈴木彰(すずき・あきら)
ベル歯科医院 院長
神奈川県横浜市で20年以上にわたり臨床研修医の指導を担当。
これまで50名以上の研修医を育成し、多くが現在、歯科医院の院長や分院長として活躍している。
「学生に寄り添う指導」をモットーに、毎年3月には研修先が決まらない学生からの相談を無償で受け付けている。
日本歯科医師会会員、臨床研修指導歯科医。
記事作成:JDCnavi編集部
歯学部生・歯科医師のキャリア支援を専門とする情報メディア。
全国の歯科医院・大学病院との連携により、最新の研修情報・国試対策・キャリア形成をサポートしています。???????




