1. ホーム
  2. 記事一覧
  3. 【研修医コラム】研修4か月が過ぎて、できることが増えた?でも、まだまだできない! 2人の研修医対談
29期研修医画像1.jpg
  • 公開:2026/08/31
  • 更新:2026/08/31

【研修医コラム】研修4か月が過ぎて、できることが増えた?でも、まだまだできない! 2人の研修医対談

0

「研修医って、実際どんな毎日なんだろう?」
歯学部生にとって、臨床研修は楽しみである一方、不安も多いものです。

「患者さんを前にして、ちゃんと話せるかな。」
「治療を任されたら、うまくできるかな。」
「先輩の先生に怒られたらどうしよう。」
「そもそも、自分は歯科医師としてやっていけるのだろうか――。」

そんな不安を抱えてスタートした研修も、4か月が経過しました。
今回は、神奈川歯科大学出身のアサ先生(仮称)と、鶴見大学出身のトモ先生(仮称)に、4か月間を振り返ってもらいました。
一見すると、おとなしそうで従順に見えるアサ先生。ところが、話を聞いてみると実はかなりの頑固者。
一方、バイタリティーがあり、がっしりとした外見のトモ先生は、実はとても繊細。
そんな対照的な2人が語る「研修医4か月目」は、成功談だけではありません。

失敗、焦り、落ち込み、患者さんからの「ありがとう」。
そして同期だからこそのちょっとした事件まで。
これから臨床研修を始める学生さんにも、現在研修中の先生にも、ぜひ読んでいただきたいリアルな対談です。

「4か月前の自分」と、今の自分

編集部:まず、今の自分を一言で表すと?
アサ:「日進月歩、ですかね。」
トモ:「僕は『学びの時』ですね。」

編集部:4か月前と比べると、かなり変わりましたか?
アサ:変わったと思います。最初は本当に何も分からない状態だったので。
   今は、レストの位置とか器具の持ち方とか、少しずつですが「こうするんだ」という感覚が出てきました。
トモ:僕も、できること自体は明らかに増えました。ただ、その分「自分はまだまだだな」と感じることも増えました。

編集部:できるようになったからこそ、自分のできないところも見えてきた?
トモ:まさにそれです。
   最初は何も分からないので、できないことがあって当然なんですよね。でも少し分かってくると、
   「ここまでできるはずなのに、できない」ということが増えてくる。
アサ:アッそれ、分かります。
トモ:実は、4か月目って意外と難しい時期なのかもしれません。先月当たり、メンタルボロボロでしたから…

初めて患者さんに触れたとき

編集部:研修初日のことは覚えていますか?
アサ:僕はワクワクしていました。
トモ:僕は緊張と不安しかありませんでした。まともに人の目を見て話せていなかったと思います。
アサ:えっ、僕ももちろん不安もありましたよ〜。

編集部:かなり対照的ですね(笑)。初めて患者さんに触れたときは?
アサ:やっぱり緊張しました。実際に患者さんの口腔内に触れるというのは、大学での実習とは全然違います。
トモ:机上の勉強と臨床の学びの違いが大きすぎました。答えがひとつじゃないんです!
   大学では知識として分かっているつもりでも、実際の患者さんを前にすると、「あれ? 次はどうするんだ?」
   となって頭が真っ白になるんです。
アサ:患者さんによって口腔内も違いますからね。
トモ:そうなんですよ!

「教科書どおりにいかない」ということを、かなり早い段階で実感したお二人ですが、共感しあっていました。

「できるようになった」が、まだ自信にはならない

編集部:この4か月で、具体的にできるようになったことは?
アサ:ソニックブラシやアイプロフィーを使って、口腔内の清掃を行えるようになったことですね。
   あとは、浸潤麻酔も少しずつできるようになってきました。抜去歯を使って練習したことも大きかったです。
トモ:僕は患者さんへの声掛けですね。
   私はこの外見なので、怖がられんじゃないかって、変に気を遣ってしまうんですよ。
   最初は何を話したらいいのか分からなかったんですが、少しずつコミュニケーションを取れるようになりました。

編集部:では、今は自信満々?
アサ:いや、まだまだないです(笑)。
トモ:私も自信がついたというより、「少しできるようになった」という感じです。
   でも最近では私がしゃべるだけで笑われる患者さんもいて、なんだかわからないけど、
   「まぁ、いっか」と思っていますw

忘れられない「ありがとう」

編集部:患者さんとの印象的な出来事は?
アサ:自分の顔を覚えてくれていた患者さんがいたことです。
「あ、覚えてくれているんだ」と思って、うれしかったですね。
トモ:私は「ありがとう」と言っていただいたことです。

編集部:普通の「ありがとう」なのに?
トモ:はい。初めて患者さんから言われたときは、こみ上げるものがありました。
   「自分がやっていることが、患者さんの役に立ったんだ」と初めて実感できた瞬間だったと思います。
アサ:僕も初めて「ありがとう」と言われたときは、うれしかったですね。

研修医にとって、患者さんからの何気ない一言が、大きな意味を持つことがありますが、この「ありがとう」はお二人にとってかけがえのないものになることは必至ですね。

もちろん、落ち込むこともある

編集部:逆に、研修医生活は、うれしいことばかりではないと思いますが、落ち込んだ出来事は?
アサ:患者さんへの聞き取りを何度もしてしまって、ご意見になってしまったことがあります。
   自分としては確認したかったんですが、
   患者さんからすると「何度も同じことを聞かれる」と感じてしまったんですよね。

編集部:そこから学んだことは?
アサ:患者さんに説明したり、治療を提案したりするときには、一方的に話すのではなく、
   選択肢を提示することが大切だと学びました。
トモ:私は、自分の出来の悪さや不甲斐なさを感じたときですね。
   時間内に診療を終わらせられなかったり、自分の技術不足を感じたりすると、かなり落ち込みます。
   でも、そういう経験があるからこそ、次はどうすればいいかを考えるようになりました。

「もう同じ失敗はしない」

編集部:4か月の中で、「もう二度と同じ失敗はしない」と思った経験は?
アサ:患者さんに説明するとき、提案するときは、きちんと選択肢を提示することです。
トモ:よほどご意見をいただいてしまったのが堪えたんですね?
アサ:ご意見をもらってみればわかるよ、目の前が真っ暗になるから!
トモ:私だったら、落ち込み過ぎて、筋トレしたくなると思います。
      私は主訴があった場合は、指導医にすぐ報告すること。これを二度としない失敗に揚げます。
      要するに「自分でなんとかしよう」と思わないことですね。
 
編集部:これは研修医にとってかなり大事ですね。
トモ:本当にそう思います。研修医だからこそ、分からないことは分からないと言って、先輩の先生に相談する。
   それが結局、一番早く成長する方法なのかなと思います。

研修医あるある。「テンパると日本語が出てこない」

編集部:研修医ならではの「あるある」はありますか?
アサ:僕は「余計なことはしないようにしている」です(笑)。これだと聞こえが悪いですが、要するに根拠も自信もない状態で、大丈夫と思って人の業務にまで首を突っ込む
トモ:僕はテンパると、先輩に報告するときに言葉が出てこなくなります。頭の中では分かっているんですよ。
             でも、いざ先生を前にすると、「あの……その……患者さんが……」みたいになる(笑)。
アサ:わかるー!それ、ありますね。
   だから最近は、主訴対応のときに「S・O・A・P」に分けて考えるようにしています。

編集部:それは指導医からのアドバイス?
アサ:主訴対応は、S(主観)、O(客観)、A(診断)、P(計画)に分けて考えると整理しやすいんだと、
   上位Drに聞きました。
トモ:そうすると報告もしやすくなる。

編集部:同期で教え合っているのですね。
アサ&トモ:そうですね。

そして、同期だから起きた事件

ここで、2人にとって忘れられない「ある出来事」があると聞きましたが…。
編集部:最近、自分たちで笑ってしまった出来事は?
アサ:ポケット検査の相互実習ですね。
トモ:あれは忘れられない(笑)。
アサ:ごめんごめんっ!力加減が分からなくて……。
トモ:僕の口に、結構強く入りました(笑)。
アサ:本当にすみません(笑)。
トモ:痛かったです。でも、グッとこらえました。
アサ:その後、僕もやられましたが…。
トモ:相互実習のあと、ちゃんと締めておきました(笑)。

2人の間に、しばし笑いが起こります。

研修医生活には、こうした「今だから笑える失敗」もあります。
失敗しないことよりも、失敗から学んで次につなげること。
それもまた、臨床研修の大切な一部分なのかもしれません。

指導医から学んだこと

編集部:指導医や先輩の先生に助けられたことは?
アサ:ミスがあったときに、一緒に改善策を考えてくれることです。
   ただ「ダメだった」で終わらず、「じゃあ次はどうする?」まで考えてくださる。
   そこが本当にありがたいです。
トモ:僕は、自分がなぜできていないのかを明確に伝えてくださることです。
   自分では気づいていなかった改善点を指摘してもらえるので、次に何を意識すればいいのか分かります。

編集部:「この先生すごい」と思った瞬間は?
アサ:上位Drの先生は、とにかく姿勢が良いんです。
   それだけではなく、患者さんへの説明やコミュニケーションの取り方がすごい。
トモ:僕も、技術だけではなく、そういうところを見ています。
   姿勢がいいって、インナーマッスルが・・・
アサ:それだけじゃないよw姿勢がいいと長く手技をしても疲れにくいってメリットがあるって聞くよ!
トモ:ちょっとふざけただけです・・・。

教科書には載っていない「臨床の学び」

編集部:診療から学んだことは?
アサ:保険算定のルールです。
   これは教科書だけでは分からない部分もありますから。
トモ:僕はコミュニケーションですね。
   声を少し高めにして、気持ちを持ち上げて話すと患者さんが安心すると聞いて、実践しています。

編集部:効果は?
トモ:……なぜか笑われるんですよ。
アサ:(笑)
トモ:自分では真剣にやっているんですけどね。
編集部:それもコミュニケーションの勉強ですね(笑)。

4か月目だからこそ見えてきた「壁」

現在、2人が苦戦しているのは、治療技術、コミュニケーション、時間配分など。
そして共通しているのが、「緊張しやすい」ということでした。

編集部:今、一番苦戦していることは?
アサ:ポジショニングですね。
   あとは診断や時間配分、コミュニケーションなど、まだまだ課題があります。
トモ:僕は時間内に診療を終わらせることです。
   これまでのDr研修でう蝕処置を行いましたが、技術と知識の両方が本当に大事だと再認識しました。
   今は正確に手技を身につけることに重点をおく時期ですが、
   いつまでもこのままではいけないという焦りを落とし込むことが課題です。
アサ:知識だけでもダメだし、技術だけでもダメ。
トモ:そうですね。

半年後、どんな研修医になっていたい?

編集部:あと1か月で半年です。半年後にはどうなっていたいですか?
アサ:まずは基本手技をしっかり押さえて、できるようにしたいです。
   知識については、成功の基準を知ること。そして、ミスしたときに
   「この先どんなことが起こり得るのか」まで考察できるようになりたいです。
トモ:僕は、う蝕処置とRFの技術を上げたいです。
   技術を上げるためには知識も必要なので、器具の特性を理解して、注意すべきところをしっかり考えたいです。

編集部:歯科医師としてだけではなく、人としては?
アサ:報連相を怠らない。
トモ:技術や知識が先行しないように、原点の心を強く、優しさを保つこと。

実は、小児が苦手でした

編集部:この4か月で「一番成長した」と思う瞬間は?
アサ:小児が苦手だったんですが、話せるようになったことです。

編集部:それはかなり大きな変化ですね。
アサ:最初はどう接したらいいか分からなかったんです。でも、少しずつ話せるようになりました。
トモ:小児に初見で怖がられないようにするのが課題で、話せるかどうか以前の問題だよ、私は…。
   僕は、その場その場では成長している感じがしないんです。
   でも、今振り返ってみると、できることが明らかに増えている。
   「あ、成長してるんだな」と最近になって実感しています。

2人の「研修医マイルール」

編集部:研修中、自分なりに決めていることはありますか?
アサ:ネガティブにならないようにしています。あと、言い訳はしない。正直にいること。
トモ:僕は……実感のない生き方をしないようにしたいです。

編集部:少し深いですね。
トモ:研修をただ毎日こなすだけにしたくないんです。
今日何を学んだのか、何ができるようになったのか。それをちゃんと感じながら過ごしたい。

未来の研修医へ

編集部:最後に、これから臨床研修を始める後輩へメッセージをお願いします。
アサ:「人から言われて動くのではなく、自分から動けるように頑張りましょう。
はじめはできないことが多いですが、いつの間にか少しずつできるようになります。だから、焦らなくて大丈夫です。」
トモ:「自分だけで何かしようとせず、必ず先輩Drに相談すること。
それが学びにつながりますし、人間性も養われると思います。
Drに限らず、臆せずたくさんのスタッフとも話してください。チームであることを意識すると、働きやすくなります。」

編集後記――「できない」は、成長の途中にある

臨床研修4か月目。
「もう4か月」と感じる人もいれば、「まだ4か月」と感じる人もいるでしょう。
今回の2人の話を聞いて印象的だったのは、できることが増えたからこそ、自分のできないことにも気づけるようになったということでした。
最初は、患者さんに触れるだけで緊張する。
器具の持ち方が分からない。
何を話していいか分からない。
先輩への報告で言葉が出てこない。
そんなところから始まっても、4か月経てば、少しずつ「できる」が増えていく。
そして、その「できる」の先には、新しい「できない」が見えてくる。
それは、後退ではなく、むしろ成長している証なのかもしれません。

アサ先生の「日進月歩」。
トモ先生の「学びの時」。

2人の言葉は違っても、根底にあるものは同じです。
焦らなくていい。分からなければ相談すればいい。失敗したら、次に活かせばいい。
これから臨床研修を始める皆さんも、最初から完璧な歯科医師になる必要はありません。
4か月後、半年後、そして1年後。
「あの頃より、少しできるようになったな」と思えれば、それだけで十分な一歩です。
そしてこの連載では、これからも2人の研修医生活を追いかけていきます。
次回は、さらにできることが増えているのか。
それとも、新たな壁にぶつかっているのか。
研修医の成長は、まだまだ続きます。

この記事が参考になったら
0