- 公開:2026/03/08
- 更新:2026/7/31
結婚・出産後も歯科医師は続けられる? 20代女性歯科医師が語る、育児とキャリア、両立のリアル
山田 実樹 歯科医師
「結婚や出産をしても働き続けられるの?」「子育てと仕事は両立できる?」歯科医師を目指す学生の中には、そんな将来への疑問や不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、20代で結婚・出産を経験し、現在は1児を育てながらフルタイム勤務医として活躍する山田 実樹先生にインタビュー。出産・育休を経て復職するまでの道のり、そして育児と仕事を両立するための工夫まで、リアルな経験を伺いました。将来の働き方を考えるヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
〈山田 実樹先生プロフィール〉
一般歯科医師/4年目/20代女性
スタッフ約50名の「ベル歯科医院」(神奈川県海老名市)に、週5日フルタイム勤務
1児の母
フルタイム勤務・山田先生の1日のスケジュールをチェック!
「夫婦でうまく役割分担をし、保育園のお迎えは夫が担当しています。歯科医師は国家資格を持つ職業。たとえ出産・育児でブランクがあっても、努力次第でいつでも戻ってこられる仕事です!」と語る山田先生。これまでのキャリア形成を深掘りします。
キャリア形成は一人で悩まず、先輩ドクターに相談を
ー研修医修了後のキャリアについて教えてください。どのような診療を中心に経験を積みましたか?
山田先生:研修医としてお世話になった医院に勤務をし続け、現在4年目です。
診療内容は一般歯科を中心に、小児歯科や予防診療の割合が多く、症例数が豊富な環境です。保存・補綴・小児・予防と幅広い分野を若いうちに実践的に学べたことは、自分のキャリアにとっても本当に大きな経験になっていると感じます。
ー結婚・出産のタイミングはどのようにお考えでしたか?キャリアとの兼ね合いで悩んだことはありますか?
山田先生:出産に関しては、正直なところ「この時期に」と明確に計画していたわけではありません。
妊娠が分かってから、院長や女性の先輩ドクターに相談し、今後の働き方について一緒に話し合いました。
一人で抱え込まず、実際に出産・復職を経験している先輩の意見を聞けたことで、将来の見通しが立てやすくなり、漠然とした不安もずいぶん軽くなりました。
産休・育休中の過ごし方——スキル維持のリアル
ー産休・育休の期間の過ごし方について。知識・スキルの維持に向けた工夫はしていましたか?
山田先生:産休・育休は合わせて約半年間取得しました。振り返ると幸せな時間ではありましたが、実際には慢性的な睡眠不足の日々で、まとまった勉強に時間を割く余裕はほとんどありませんでした。
「何か勉強しなければ」という焦りはあったのですが、そこは無理をせず、まずは育児と生活リズムを安定させることを最優先に。その代わり、育休中でも週1日・4時間ほど出勤するかたちを取り、なるべく臨床感覚が途切れないようにしました。このように職場とも密にコミュニケーションをとっていたので、復職のハードルが下がっていたと思います。
家族はもちろん、柔軟に対応してくださった院長をはじめ職場の皆さんには、本当に感謝しています。
復職後心配だった体力面。乗り越える工夫とは?
ー復職を決めた理由を教えてください。
山田先生:院長に勤務形態について相談したところ、育児との両立を前提に柔軟に対応していただける環境が整っていたからです。
また、もともと職場の雰囲気が良く、これまで継続して診てきた患者さんを今後も担当したいという思いが強くあり、同じ医院への復職を選びました。
ー復職前の不安と、実際に復職してみて感じたギャップはありましたか?
山田先生:復職前、最も大きな不安は体力面でした。出産・育児を経て、以前より体力が落ちていると感じる場面があり、「フルタイムでやっていけるのか」という心配がありました。
一方で、患者対応については思ったよりスムーズでした。育休中も時折出勤していたおかげで、患者さんやスタッフとの関係が途切れておらず、それが復職後の大きな安心感につながりました。
今後は子どもの急な体調不良などでお休みをいただく場面も出てくると思います。その際にご迷惑をおかけするからこそ、日頃のコミュニケーションと感謝の気持ちを大切にしたいと考えています。
ー体力面への不安に対して、どのように取り組んでいますか?
山田先生:週に1回は意識して運動の時間を設け、無理なく続けられる範囲で体力の維持・回復に取り組んでいます。
診療終了後はできるだけ早く帰宅できるよう職場に配慮いただいていることもあり、徐々に生活のペースをつかんでいる最中です。
育児×フルタイム勤務を両立するコツ
ー育児と仕事を両立する上で、最も大変なことと工夫していることを教えてください。
山田先生:とにかく時間が限られていることが最大の課題です。その分、限られた時間をいかに有意義に使えるかを常に意識するようになりました。
体調管理も重要で、自分が倒れると仕事にも家庭にも影響が出てしまうため、栄養管理と体力づくりを意識しています。
また、家事は積極的に「現代の文明の利器」に頼っています。お掃除ロボット・自動調理器具・ドラム式洗濯乾燥機など、任せられるものは機械に任せることで、自分の時間と体力を守るようにしています。
もちろん夫と家事・育児の役割分担も必須です。一人で抱え込まないことが、長く働き続けるためのカギだと感じています。
歯学部学生・研修医へのメッセージ
ー学生時代・研修医時代にやっておいてよかったこと、やっておけばよかったことを教えてください。
山田先生:学生時代は、比較的まとまった休みが取れる貴重な時期です。社会人になるとまとまった休みを取ることが難しくなるので、学生のうちに旅行なども含め、もっと多くのことに挑戦しておけば良かったと思います。
また、研修医時代は、できるだけ多くの臨床経験を積める環境を選ぶことが重要です。症例数の多い環境で幅広い経験を積んでおくことが、ライフイベントを迎えた後の自信につながると思います。
ー将来のライフイベントを見据えて、今から準備しておくべきことはありますか?
山田先生:日頃から相談できる人をつくっておくことが大切です。先輩や上司と気軽に話せる関係性があるだけで、ライフイベントに直面したときの不安はかなり軽くなります。私自身、先輩ドクターに相談できたことで、将来のイメージを持てるようになりました。
また、しっかり成長できる職場環境を選ぶことも重要です。経験値が高ければ、ライフイベント後も自信を持って復職できると思います!
ー最後に、歯学部学生・研修医へのメッセージをお願いします!
山田先生:歯科医師は、何歳になっても、たとえブランクがあっても、自分の努力次第で再び挑戦できる仕事です。育児がキャリアの足かせになることもありません。自分の体力や生活状況と向き合いながら、ライフワークバランスを考えていけたら良いのではないでしょうか。
私自身もまだ子育て初心者ですが、限られた時間の中で、今自分にできることを精一杯続けていきたいと思っています。
【編集後記】
取材を通じて印象的だったのは、山田先生が常に「一人で抱え込まない」ことを大切にされているという点でした。相談できる先輩をつくること、職場と密にコミュニケーションをとること、家庭での役割分担…。どれも特別なことではありませんが、日頃から実践し続けることが大切です。
歯学部学生・研修医の皆さんが将来のライフデザインを考えるうえで、ひとつの道標になれば幸いです。
・取材協力 神奈川県海老名市「ベル歯科医院」山田 実樹先生
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