歯学部6年生になると、多くの学生が悩むのが「どこで臨床研修を受けるか」という問題です。
これまでは厚生労働省が運営する歯科医師臨床研修プログラム検索サイト「D-REIS」を利用し、全国の研修施設やプログラムを比較検討していた学生も多かったでしょう。
しかし2026年6月現在、D-REISは閉鎖されています。今後の再開予定は不明です。
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/shikarinsyo/index.html)
そのため、
「ほかに情報を得られるところはどこ?」
「自分の大学病院の情報しか集められない」
と不安を感じている学生も少なくありません。
ですが、情報収集手段はあります。
むしろD-REISがなくなった今だからこそ、自分自身で情報を集める力がこれまで以上に重要になっています。そしてそれこそが強みに変化させるよいチャンスなのです。
本記事では、2026年以降の歯科医師臨床研修先の探し方について解説します。
D-REIS閉鎖で何が変わったのか
D-REISは厚生労働省が提供する全国の研修施設を横断的に検索できる便利で正確な情報サイトでした。
研修施設の規模や指導体制、症例数、募集人数などを比較できたため、多くの学生に利用されていました。
現在でも厚生労働省は「D-REIS」の代替えとして、研修施設一覧と研修プログラム一覧を公開しています。が、正確性はありますが詳細な内容を把握することはできません。
(https://www.mhlw.go.jp/content/001501324.pdf)
一方、マッチングを行う「歯科医療振興財団」では、「歯科医師臨床研修マッチングプログラム2026」サイトで、マッチングに参加予定の研修施設一覧を公開しています。
(https://drmp.jp/)
以上、2つの情報源から
「研修施設リスト情報は得られる」が、
詳細情報は掲載されておらず
「自分で探しにいかなければならなくなった」
というのが実情です。
この変化は一見不便に思えますが、実は研修先選びの本質に近づいたとも言えます。
なぜなら、自分に合う研修先かどうかはリストだけでは分からないからです。
マッチングはゴールではなく手続き
マッチングは研修先を決めるための仕組みであって、研修先を探してくれる仕組みではないということを忘れてはいけません。
順位表を提出するためには、
・どの施設があるのか
・どんな研修ができるのか
・自分に合っているのか
を事前に調べる必要があります。
つまり、マッチング参加者であっても情報収集は必須です。
順位を提出する前の準備こそが重要なのです。
まずは厚生労働省の一覧を確認する
最初に行うべきことは、厚生労働省が公開している研修施設一覧と研修プログラム一覧を確認することです。
ここには全国の管理型施設や単独型施設が掲載されています。
まずは地域を限定せず、
・大学病院
・市中病院
・歯科医院
・医療法人グループ
などをリストとして、名称から幅広く眺めてみましょう。
意外と知られていない優良プログラムが見つかることもあります。
気になる施設は必ずホームページを見る
一覧で見つけた施設は必ずホームページを確認してください。
ホームページから得られる情報は非常に多いです。
例えば、
・医療施設の概要(立地・沿革など)
・研修医の人数
・指導医の人数
・法人の規模
・分院展開の有無
・診療内容
・症例数
・研修実績
などです。
特に研修修了後の進路が掲載されている施設は参考になります。
研修後に勤務医として残る人が多いのか。
大学院へ進学する人が多いのか。
開業医志向なのか。
その施設のカラーが見えてきます。
SNSは想像以上に情報源になる
近年はInstagramやYouTubeで研修内容を発信している施設も増えています。
ホームページでは分からない雰囲気や人間関係を知ることができます。
例えば、
・院長の考え方
・スタッフの雰囲気
・研修医の日常
・勉強会の様子
などです。
特に若手歯科医師が積極的に発信している施設は、教育に力を入れているケースが少なくありません。
見学は最低3施設以上
最も重要なのは施設見学です。
どれだけホームページを読んでも、現場の空気感は分かりません。
見学では、
・研修医が忙しそうか
・質問しやすそうか
・指導医が教育的か
・スタッフとの関係は良好か
を観察してください。
また、
「1日でどれくらい患者を診るのか」
「いつから患者担当になるのか」
「修了後の進路はどうなっているのか」
など具体的に質問しましょう。
パンフレットには載っていない情報が得られます。
大学の先輩から聞こう
大学の先輩は最高の情報源です。
研修施設側の説明だけでは分からないことを教えてくれます。
特に聞いておきたいのは、
・実際の指導内容
・症例経験数
・残業の実態
・人間関係
・研修後の成長実感
です。
施設説明会では良い面しか見えません。
現場経験者の声は貴重です。
重要なのは「自分に合うか」
学生に多い失敗が、
「有名だから」
「倍率が高いから」
という理由で選ぶことです。
重要なのは自分に合うかどうかです。
例えば、
・まず保険診療をしっかり学びたい
・外科を多く経験したい
・訪問歯科を学びたい
・開業医を目指したい
・専門医を目指したい
これらでは最適な施設は異なります。
他人の評価ではなく、自分の将来像から逆算して選ぶことが大切です。
情報を待つ時代は終わりました
D-REISがあった時代は、誰でも同じ情報にアクセスできました。
しかし現在は違います。
積極的に調べる学生と、そうでない学生との間で情報格差が生まれています。
だからこそ、
・施設一覧を見る
・ホームページを調べる
・SNSを確認する
・見学に行く
・先輩に話を聞く
という行動が大きな差になります。
まとめ
D-REISの閉鎖によって、歯科医師臨床研修先探しは不便になったことでしょう。
しかし、研修先選びの本質は変わっていません。
大切なのは、マッチングに参加することではなく、自分が成長できる環境を見つけることです。
情報を待つ時代は終わりました。
これからは自ら探し、比較し、見学し、判断する時代です。
1年間の臨床研修は、その後の歯科医師人生を大きく左右します。
ぜひ受け身にならず、自分の足で情報を集めてください。
その行動力こそが、良い研修先との出会いにつながるはずです。




